僕たちは日常の中で、さまざまな出来事を記憶しながら生活しています。しかし、そのすべての出来事が同じように記憶されるわけではありません。特に、感情を伴う出来事は、そうでない出来事と比べて強く印象に残ることが知られています。
例えば、嬉しい出来事や成功体験は長く覚えている一方で、悲しい出来事や失敗経験もまた、強く記憶に残ることがあります。このように、感情は記憶の形成に大きな影響を与えていると考えられています。
しかし一方で、「ポジティブな出来事」と「ネガティブな出来事」のどちらがより記憶に残りやすいのかについては、研究結果が一致していません。ネガティブな情報の方が記憶に残りやすいとする研究もあれば、ポジティブな情報の方が優位であるとする研究も存在しており、この点については明確な結論が出ていないのが現状です。
さらに近年では、記憶の違いは単に感情の種類だけで説明できるものではなく、個人の性格特性にも影響される可能性が指摘されています。特に、不安を感じやすい傾向や内向性といった特性は、情報の捉え方や注意の向け方に違いを生み、結果として記憶成績にも影響を与えると考えられています。
そこで本研究では、感情価(ポジティブ・ネガティブ)に加え、特性不安や内向性といった個人特性が記憶の再生成績にどのような影響を与えるのかを検討します。
第1章:研究の背景と目的|感情記憶の対立と個人特性の検討
私たちは普段、無意識のうちにさまざまな出来事を記憶していますが、その中には感情が結びついているものがたくさんあります。
たとえば、サッカーの試合で自分が逆転ゴールを決めた場面なら「嬉しい」というポジティブな感情が、反対に恋人に振られてしまったという出来事なら「悲しみ」といったネガティブな感情が付与されていますよね。
このように、嬉しい、悲しい、あるいは怖いといった感情を伴う出来事というのは、そうでない出来事と比べると、驚くほど鮮明に記憶に残っているものなんです。
感情記憶の基本
感情が伴わない記憶よりも、ポジティブやネガティブな感情を伴う記憶の方が、記憶の成績が良いことは多くの研究で共通しています。
未解決の対立
しかし、「ポジティブな記憶」と「ネガティブな記憶」のどちらが優れているか(あるいは残りやすいか)については、研究によって結果が分かれています。
現状
「ネガティブの方が残りやすい」とする研究と、「ネガティブな詳細は忘れられやすい」とする研究がどちらも存在しており、この分野では結論が出ていない状況です。
第2章:研究の方法|実験デザインと妥当性の確保
感情記憶研究の対立
感情記憶に関する研究では、ポジティブな出来事の方が記憶に残りやすいとする研究がある一方で、ネガティブな出来事の方が記憶に残りやすいとする研究もあり、研究結果は一貫していません。その理由として、まず感情が単純にポジティブとネガティブの二種類に分類できるものではないことが挙げられます。人は「嬉しいけれど不安である」といったように、複数の感情を同時に抱くことがあるため、感情を単純に分類することが難しいのです。
また、研究方法にも課題があります。多くの感情記憶研究では、自伝記憶と呼ばれる個人的な体験の記憶が用いられています。しかし、人の記憶や感情は時間の経過とともに変化するため、出来事を思い出した際の感情が、実際に体験した当時の感情を正確に反映しているとは限りません。そのため、研究で測定される感情や記憶には誤差が含まれる可能性があります。
以上のことから、感情記憶研究の結果が一致しないのは、感情そのものが複雑な性質をもっていることに加え、自伝記憶を用いた研究方法にも限界があるためだと考えられています。
適切な測定方法
感情記憶を研究する際には、単語よりもエピソードを用いた方が適切であると考えられています。その理由は、単語だけでは強い感情が喚起されにくく、感情が記憶に与える影響を十分に測定できない可能性があるためです。例えば、「愛」や「平和」、「戦争」や「殺人」といった感情的な意味をもつ単語であっても、それらを見るだけでは実際に強い感情が生じるとは限りません。
一方で、出来事や物語のようなエピソードには感情が伴いやすく、感情の影響をより正確に測定することができます。実際に、会話エピソードを用いた研究では、感情が強く喚起された場合、不快な内容よりも快い内容の方がよく記憶されることが示されています。このような研究結果から、感情記憶の測定にはエピソードを用いる方法が有効であると考えられています。
以上のことから、本研究では感情記憶をより正確に測定するために、独自に作成した架空のエピソードを用い、感情の違いが記憶成績にどのような影響を与えるのかを検討します。
個人特性が感情記憶に与える影響
感情記憶の再生成績に加えて、個人の性格特性との関連についても検討しています。具体的には、特性不安と内向性が感情記憶にどのような影響を与えるのかに着目しています。
先行研究では、不安を感じやすい人は中立的な情報よりも脅威的な情報やネガティブな情報に注意を向けやすいことが指摘されています。そのため、本研究では、特性不安が高い人ほどネガティブな感情を喚起する情報を記憶しやすく、再生成績も高くなると予測しています。
また、内向的な人は外向的な人と比べてネガティブな体験や情報に注意を向けやすいことが報告されています。このことから、本研究では、内向性が高い人ほどネガティブな感情を喚起する情報についての再生成績が高くなると予測しています。
つまり、本研究は感情の違いによる記憶成績の差だけでなく、不安の感じやすさや内向性といった個人の性格特性が感情記憶にどのような影響を与えるのかを明らかにしようとしているのです。
3章:本研究の目的
特性不安、内向性、および感情価(ポジティブ感情・ネガティブ感情)が記憶の再生成績にどのような影響を与えるのかを検討することを目的としています。
感情記憶に関する先行研究では、ポジティブな出来事とネガティブな出来事のどちらが記憶されやすいのかについて一貫した結果が得られていません。そこで本研究では、架空のエピソードを用いて感情の違いによる記憶成績の差を調べるとともに、特性不安や内向性といった個人特性との関連についても検討します。
これにより、感情記憶の優劣に関する対立した研究結果を理解するための新たな知見を得ることが期待されます。
調査対象者および手続き
今回の調査では、江戸川大学社会学部人間心理学科の学生32名を対象に、感情が記憶に及ぼす影響を検討しました。参加者は誕生月により2つのグループへ振り分けられ、それぞれポジティブ、またはネガティブな感情を喚起するシナリオを読み解く形をとっています。
手続きとして、Googleフォームを用いた2段階構成を採用しました。まず第1フォームにて基本属性や内向性、特性不安を測定したのち、指定のシナリオを提示しています。
続く第2フォームでは、記憶成績を純粋に評価するために、まず漢字の意味課題や計算課題を妨害刺激として挟みました。その上でシナリオの再生課題を行うという手順です。
また、シナリオを参照しながらの回答を防止する意図から、提示とテストを別々のフォームに分割しました。これにより、各感情が記憶の保持に与える効果を、より精密に測定することを目指しました。
実際の論文にあった|ポジティブシナリオ
「ある日の放課後の教室で、タカシとケンは文化祭の装飾準備を行っていた。二人は協力して順調に作業を進めており、教室には穏やかな空気が流れていた。タカシが『思ったより早く終わるな。この調子なら今日中に完成しそうだ』と言うと、ケンも『ああ、これなら明日から他の準備にも手が回せそうだよな。本当に助かるよ』と嬉しそうに答えた。二人は協力して作業を進められたことに満足感を感じており、完成した装飾を眺めながら、自分たちのクラスの文化祭が最高の思い出になると確信して笑い合っていた。」
実際の論文にあった|ネガティブシナリオ
「ある日の放課後の教室で、タカシとケンは文化祭の装飾準備を行っていた。二人は作業を進めていたが意見が食い違い、次第に険悪な空気になっていった。タカシが『なんでそんなやり方をするんだよ。全体のバランスを考えてくれよ』と強く言うと、ケンも『お前の方こそ、勝手に自分の意見を押し付けるなよ。協力する気があるのか?』と荒っぽい口調で言い返した。二人は協力できないことに強い苛立ちを感じており、作業を中断して視線を合わせようともせず、自分たちのクラスの文化祭が最悪の思い出になると確信して互いに背を向けた。」
調査の進め方について、少し詳しくお話しします!
まず、参加者の方はシナリオを読み終えたら、「読み終えました」というチェックボックスに印を付けます。それから、第1フォームと第2フォームの回答を正しく組み合わせるために、アルファベットを1文字以上含んだ半角7文字以上の「識別番号」を自分で作成し、両方のフォームで入力してもらいました。
ここから第2フォームで行う「記憶に影響を与えるための課題」について説明します。先ほどのシナリオの記憶を確かめる前に、あえて記憶の妨げとなる課題が用意されていました。具体的には、漢字の反対語を選ぶ問題を4問、計算問題を5問実施したのですが、これらの課題は独自に作成されたものであり、シナリオの内容から一度注意をそらすことを目的としています。
第1フォームの内容
第1フォームでは、参加者の基本情報として性別・学年・年齢を回答してもらいました。そのうえで、内向性と特性不安についての質問に答えてもらい、個人の性格特性を測定しました。
その後、ポジティブまたはネガティブな感情を喚起するシナリオを提示し、実際にその内容を読んでもらっています。
このフォームでは、参加者の性格特性を把握すると同時に、感情を喚起した状態を作り出すことを目的としています。
第2フォームの内容
第2フォームでは、まず最初に識別番号を再入力してもらい、第1フォームのデータと正しく対応できるようにしました。その後、すぐに記憶テストを行うのではなく間に干渉課題を挟むことで、より自然な状態に近い記憶を測定することを目的としています。
具体的には、漢字の反対語問題と計算問題を行ってもらい、一度シナリオの内容から注意をそらすようにしています。その後、シナリオの内容をどの程度覚えているかを確認する記憶の再生課題を実施しました。
このように、シナリオを読んだ直後ではなく一定の課題を挟んでから記憶テストを行うことが自然な状態に近い記憶を測定するポイントです。
干渉課題ってなに?
干渉課題とは、参加者がシナリオの内容を直後に繰り返し思い出すことを防ぐために行う課題です。
本研究では、漢字の反対語を選択する問題を4問、計算問題を5問実施しました。これらの課題を行うことで、シナリオの内容を一時的に頭から離し、その後の記憶テストにおいて感情記憶の影響をより適切に測定できるようにしました。
(Table3・Table4)


4章:記憶の再生課題と研究結果
記憶の再生課題では、先ほど読んだシナリオの内容について、登場人物の名前や会話、出来事を問う計10問の質問に回答していただきました。各問題は1点とし、満点を10点として採点を行っています。
この得点をもとに、ポジティブとネガティブ、どちらの出来事がより記憶に定着しやすいかを検討しました。また、内向性や特性不安といった性格特性が、記憶成績にどのような影響を与えるのかも分析の対象です。
なお、本研究では事前にテストの予告をしない「偶発再生」という手法(あとでテストされると知らされていない状態で覚えた内容を思い出すことです)を採用しました。これは、参加者が意図的に暗記する事態を避け、日常生活における自然な記憶の在り方を測定するためです。
日常の生活においても、私たちは意識せずとも嬉しかったことや嫌だったことを後から思い出すことがあります。今回の調査は、まさにそのような日常的な記憶の仕組みに近い形で、感情と記憶の関係を明らかにすることを目指しました。
分析対象者
分析対象となった参加者は32名でした。
そのうち、ポジティブなシナリオを読んだ参加者は20名、ネガティブなシナリオを読んだ参加者は12名でした。平均年齢はいずれも20歳で、大学生を中心としたサンプルとなっています。
また、第1フォームと第2フォームを照合するために使用した識別番号について確認したところ、入力ミスはありませんでした。そのため、参加者32名全員のデータを分析に使用することができました。
各変数の平均値や標準偏差などの記述統計量をTable7に示します。

研究で分かったこと
本調査では、提示したシナリオの感情価が記憶に与える影響について、性格特性である内向性や特性不安を交えて分析を行いました。
特筆すべき結果として、不安を感じやすい気質である「特性不安」の関与が浮き彫りとなっています。分析を進めると、特性不安が高い参加者ほど、シナリオの内容を詳細に保持している傾向が見受けられました。
一方で、ポジティブまたはネガティブという感情価の違いや、内向性の程度による記憶成績への影響は確認されていません。
ただし、今回の統計的な分析結果は十分な強さを持つとは言えず、「特性不安が記憶力を高める」と断定することは慎重であるべきです。現段階では、あくまで一つの示唆として、こうした傾向が見られたと解釈するのが妥当でしょう。

なぜ予想と違う結果になったのか
本研究では、ネガティブな出来事や内向的な性格が記憶の保持を促進するのではないかと予測していましたが、これらの仮説は残念ながら支持されませんでした。
その主要な要因として、記憶テスト自体の難易度が挙げられます。質問内容には人物名や時刻、会話の詳細などが含まれていましたが、特に人名や台詞を問う設問は参加者にとって難解だったと考えられます。
実際、両グループともに平均点は10点満点中4点以下にとどまりました。多くの参加者が問題に苦戦した結果、感情価や性格特性が記憶に与える本来の差を、十分に捉えきれなかった可能性があるのです。
特性不安が高い人ほど記憶成績が高かった理由
今回の研究で最も興味深かったのは、不安を感じやすい人ほど記憶成績が良好になるという傾向でした。
当初は「不安が高いほどネガティブな情報だけに注目する」と予測していましたが、実際にはポジティブなシナリオでも同様の結果が示されています。このことから、不安を感じやすい人は特定の感情だけでなく、シナリオ全体に対して注意を強く向けていた可能性が考えられます。
心理学において、不安が高い人は周囲の刺激へ敏感に反応しやすいことが先行研究でも指摘されてきました。そのため、今回の調査でも彼らがシナリオをより注意深く読み込んだことが、結果として高い記憶成績に結びついたのかもしれません。
問題ごとの分析から見えたこと
問題ごとの正答数を詳細に分析したところ、興味深い知見が得られています。特に「冒頭で登場した人物の名前を答える設問」においては、ネガティブ群で正答者が多い傾向が確認されました。また、ポジティブ群でも同様に高い正答率を記録しています。
この結果には、心理学でいう「初頭効果」が関与している可能性が高いです。初頭効果とは、情報の提示順序が早いほど記憶に定着しやすくなる現象を指します。
今回は再生課題の前に干渉課題を挟んだものの、シナリオの読了から再生までの時間が比較的短かったため、冒頭の情報が強く印象に残ったのでしょう。
項目ごとの正答数をTable9およびTable10に示します。


5章:まとめ
今回の研究では、ポジティブな出来事とネガティブな出来事、どちらの方が記憶に残りやすいのかを、性格のタイプも交えて調べてみました。
結果として、感情のタイプや内向的な性格が記憶に与える影響は特にはっきりしなかったものの、一つ面白い発見がありました。それは、不安を感じやすい人ほど記憶の成績が良かったという傾向です。
もちろん、今回は参加してくれた学生さんが32名と少数でしたし、グループごとの人数に少し偏りがあった点も課題です。また、用意したシナリオが、本当にみんなの感情を動かせたのかどうかを細かく検証しきれていない面もあります。
そのため、今回得られた結果だけで「これが結論である」とは言い切れません。それでも、不安という心の動きが記憶と何かしらつながっている可能性を見つけられたのは、大きな収穫だったと感じています。
今後はより多くの人に協力してもらい、実験の方法を工夫していくことで、感情と記憶の不思議な関係をより深く解き明かしていく事を考えています。
参考文献
実際にこういう人もいる|論文上では『今回の結果だけで結論を出すことはできません』とありますが、僕の経験上だと??
先ずはこの論文って要は『不安を感じやすい人は、他の人よりも物事をしっかり覚えているかもしれない』という可能性が見えてきた、ということです。そこから、僕の経験を実際に合った事例として書いていきます!!
僕が大学時代にバイトをしていた時の事です。
健太(仮名)は僕のバイト先に入ってきた初日にメモを取りませんでした。それで、バイトリーダーに「メモ取って?」と言われていました。
後日
「メモとか取る必要ある?」と、僕に言ってきました。僕自身は初日からメモを用意してメモを取っていた側だったので、そのメモに救われたことが何度もあって、メモを取ることの大切さを知っていました。
「メモはあった方が良いよ」
「そういうバイトだとは思えないけどなぁ~・・・。」
健太は納得いかない様子でした。
「めも見ないと分からないことが出来た時困るぜ?」
「まぁ、俺、大学MARCH入ってるし、記憶力には自信あるから平気だと思うけどなぁ~・・・。」
「ああ、そうか・・・。」
(勉強とバイトは違うだろ!勉強ができるタイプのイカれやろうかいな??)
僕は心の中でそう思っていました。
ある日の事
健太が僕に、
「遼兎(はると)、発注のやり方分からないんだけど、どうやるんだっけ?」
と、僕に聞いてきました。
「え!?1ヶ月経つのにまだ教えてもらってないの?」
「え、まぁ。バイトリーダー教えてくれなかったんだよ」
「そうか、じゃあ僕がやっておくよ」
「おお、任せるわ」
この時の僕は、健太がまだ教えてもらっている事のメモを取っていなかったことは知らなかったので、バイトリーダーに、何でまだ発注の仕方を教えていないのかを聞きました。
すると、
「え!?もうとっくに教えてるよ?」
「マジですか!? 健太がバイトリーダーが教えてくれなかったって言っていましたよ?」
「はぁ、ありえない。自分ができなかったこと人のせいにするなんて・・・。あたしからそういうことをしないように言っておくから」
「分かりました」
それから暫くして、また新たな女性の大学生の子、咲(仮名)がバイトで入ってきました。
その子は初日からメモを取っていて、覚えるのが早く、元からいた同じアルバイト仲間たちが健太と比較するようになりました。
「咲さんは覚えるのめっちゃ早いのに健太は遅かったよな」
「ってかもう既に咲さんの方が仕事できるんじゃね?」
「確かに!咲さんの方ができる気がするわ!あと、俺咲さんタイプだし」
「いや、お前、それ関係ないだろ!(笑)」
元居たアルバイト仲間としょっちゅうそんな会話がになり、ある時、僕は咲さんに、
「咲さん仕事覚えるの早いね! 凄いと思うよ!」といいました。
すると、
「ありがとうございます! 私、失敗するのが不安だったので、失敗しないようにしっかりやろうと思っていました!」
聞いたところ、咲さんはMARCHよりも低い大学でした。
暫くして、そういえば最近健太見ないな?と思って確認すると、健太はバイトを辞めていたようでした。
僕はこの論文を読んで、新たな環境に飛び込むときに、不安がある人は確認することが多い事が真っ先に思い浮かびました。この論文だと、必ずしも不安がある人が記憶力が良くなるとは言えないことは分かっています。
しかし、僕には不安に関することで思い浮かぶことがあって、要は、受験前に受かるかどうかが不安な学生ほど受験前の試験対策の確認が多くなるのと同じ原理ですよね!
僕のバイトに来ていた健太は自分の学力に胡坐をかいて努力しなくてもそれくらいできると、自信過剰になっていて不安がない状態。咲さんは、失敗しないか不安で、何事も確認することが多い人でした。
僕の経験の振り返り
この経験を振り返ってみると、不安というものは単純に良い・悪いで片付けられるものではないと強く感じました。健太のように「自分はできる」と思い込んでいる状態は、一見すると自信に見えますが、実際には確認や準備を怠ることにつながり、結果的に周囲とのズレやミスを生んでしまうこともあります。一方で、咲さんのように「失敗したくない」という不安がある人は、その不安を原動力にして丁寧に確認を重ね、結果として着実に成長していく姿がありました。
その対比を目の当たりにしたとき、不安という感情は決してネガティブなだけのものではなく、むしろ行動を変える強いエネルギーになり得るのだと実感しました。むしろ何も不安を感じない状態の方が、危うさを含んでいる場合すらあるのではないかと思います。
この論文の結果とも部分的には重なりますが、現実の人間関係やアルバイトのような場面では、もっと生々しく、もっと複雑にこの差が表れているように感じました。データとしては単純に「有意差がない」「傾向がある」と整理されるものでも、その裏には人それぞれの必死さや焦り、プライドのような感情が確実に存在しているのだと思います。
今回の経験を通して、不安というものを単なる弱さとして扱うのではなく、「行動を変えてしまうほどの力を持った感情」として捉えるようになりました。そしてその力は、使い方次第で人を成長させる方向にも、逆に停滞させる方向にも働くものなのだと強く感じています。

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